11.エピローグ
白くなっていく空。
朝靄のサイクリングロードを風が吹き渡る。
川沿いの桜並木はどこまでも続き、真綿のような花びらを降らせている。
僕はゆっくりとペダルを漕いでゆく。
短い夢を振り返るように。
何事もなかったかのように、また一日が始まるだろう。
繋ぐ道、繋ぐ声、繋ぐ記憶繋ぐ温もり、繋ぐ匂い・・・。
意識の先には、いくつもの世界が待っていた。
耳をそばだて、目をこらし、自分の奥底へと呼吸したとき、
たしかに触れることができたんだ。
いつもと変わらない朝だけど、僕は僕を信じようと思う。
境界線をこえて、共鳴し会えた友よ。
ありがとう。
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